cool vienna!

ひょっとしてひょっとするとcool、かも知れないvienna。

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イケイケな博物館

犯罪……この暗黒なる響き。
つい数日前のことです。チャリで2区を走っていて、偶然「クリミナル・ムゼウム(犯罪博物館)」というものを見つけて、思い切って入ってみたのです。中世から近代にかけてのウィーンの街で起こった犯罪や事件にまつわるものが、シーンと静まり返った古い建物の中に所狭しと並べてありました。この博物館のいちばんの特徴は、CGだとか、ビデオだとか、音声解説だとか、今どきの展示方法は一切使われていないってことです。展示されている事件にはひとつひとつ、例えば「17XX年レオポルド地区の店主殺害事件」とか、「18XX年アルザーシュタット地区の毒殺事件」とか、まるで火曜サスペンス劇場のタイトルのようなものが当初から付けられ、のちのちまで語りぐさになっていたことを物語っています。当時の新聞記事や、写真がまだなかった時代でもカリカチュア(イラスト)で、民衆に向けて執拗に報道されているのです。そう言えば中には、ウィーン版「ブッチとサンダンス(明日に向かって撃て)」的な事件や、「アルカポネ」っぽい極悪人の事件も見かけました。そしていつの世も民衆は、この手の犯罪に戦々恐々となり、首をすくめながらも同時に耳をダンボにし、街中がヒソヒソとその殺人事件の話しで持ち切りだったわけですよ。ワイドショー的な俗っぽいスペクタキュラー感ひしひしです。業、業、業…のオンパレードです。そんなわけでこの博物館を訪れる人々は、恐いもの見たさに導かれ、それらの血なまぐさい事件の記事の数々を、しかも昔の新聞に使われていたゴシック文字で、延々と読み進んでいかなければならず、小さい割にとっても時間を要するのです。その上、つい熱心に記事を読んでるとすぐ横で、ギロチンで落とされた生首とか、犯人が毒薬を入れていたガラス瓶とか、死体を包んでいた麻袋とか、凶器が突き刺さったままの頭蓋骨とか、デスマスクとか、次々登場して来るので気が抜けません。19世紀後半になると、血みどろの現場写真もお目見えして来ます(もちろんモノクロですけどね)。そうしてやっと博物館を出て来る頃には、「週刊・噂の真相」20冊分を一気読みした程度の疲労感と、浅草の見世物小屋的シュール感と、世に渦巻く人間の業というもので肩の辺りがずずーんと重くなっているのでした。
| manakuma | art + design | 17:00 |